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TOHO会通信
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西尾 まう
2004年/東放学園高等専修学校 芸術科卒タレント・俳優
自分で考える力がついたのは東放のおかけ
東放学園高等専修学校の第1期生である西尾まうさんは、
生まれた頃から芸能の世界が身近でした。芸能事務所を営む母親と一緒に過ごす時間が欲しい一心でマジックを始め、世界最年少8歳でマジシャンとして世界デビューを果たします。
「可愛い人や歌がうまい人が周りにたくさんいる芸能界で、子どもながらに『自分はこの人たちと同じ土俵で勝負できない。みんながやらないことをやらなきゃ』と感じていて。当時はマジックをやっている子どもはいなかったので、マジックの習得に毎日8時間の練習をしました」
海外はもとより、国内でもTV番組等で活躍。マジックでたくさんの人が喜んで、楽しんでくれることが西尾さんのモチベーションでした。ですが中学生になると、大人たちからの「タネを見抜いてやろう」という意地悪な視線に恐怖を感じるようになりました。同時期に海外でスパイス・ガールズのステージを直に観る機会などもあり、西尾さんの興味はじょじょにダンスへと移ります。高等部の存在を知ったのはその頃でした。
「まず高等部の体験入学に行ったんです。そしたら校舎は綺麗だし、芸能の世界の第一線で活躍しているダンスの先生の授業もあるし、海外留学もできるし、『ここに1期生で通えるって最高じゃん!』とその場で入学の意思が固まりました。生徒の主体性を大事にする校風だったので、すべてが自分次第だったんです。自由をはき違えた瞬間もありつつ(笑)、自分で考える力がついたのは東放のおかげですね」
無駄なことはひとつもない。すっごく人生を楽しんでいる
卒業後はダンサーを目指し留学するものの
レベルの高さに挫折し、やりたいことを見失ってしまいます。そんな二十歳の西尾さんに手を差し伸べてくれたのが、母親と家族ぐるみでお世話になっていた愛川欽也・うつみ宮土理夫妻でした。
「キンキンさんの劇団の映画のちょい役として出たとき、久しぶりにカメラ、照明、マイクに囲まれたんですよね。その瞬間にアドレナリンが出たというか、めっちゃ興奮したんです。それと同時期にオーディションに合格してCMの出演が決まって、『ここからまた芸能で頑張りたい』と強く思いました。だから本当に、今のわたしがあるのはキンキンさんのおかげなんです」
「自分とは違う人格になれる」という演技の面白さに目覚めた西尾さんは、それから舞台、映画、田村淳さんプロデュースアイドル「スルースキルズ」、タロットアドバイザーなど活動の場を広げます。
「幼い頃から芸能に触れていたのもあって考え方が柔軟というか、“わたしは演技しかしない!”みたいな変なプライドがなかったんです。アイドル活動は友達の付き添いで行ったオーディションを急遽受けることになったのがきっかけだったんですけど、久しぶりに踊れたのがすごくうれしかったんですよね」
昨年は映画『SOMEDAYS』が国内外で評価され、
マドリード国際映画祭で主演女優賞を受賞。
今年7月にはお笑いガールズグループ・ショウガールズの結成2周年を祝して3日間でテーマの異なる舞台を6公演開催、来年公開予定の渡辺徹さんら構想の映画『SENSEKI』の出演といった演者活動以外にも、友人の所属するSilent Rivalの「Join My Cult」ミュージックビデオをプロデュースして現役高等部生徒2名の出演を取り持つなど、西尾さんはこれまでの経験のすべてを活かしています。
「未来に不安や迷いがあるという方は、ぜひショウガールズの舞台を観てほしいです。ショウガールズは全員が元アイドルの8人組グループです。笑いで背中を押せると思うし、『こんな大人が頑張ってるんだから、わたしもまだまだ頑張れるじゃん!』と思ってもらえるかも(笑)。見切りをつけるのが早かったぶんいろんな経験ができたし、いろんな経験をしたぶん視野を広く持つこともできたし、無駄なことはひとつもなくて。わたし、すっごく人生を楽しんでるんです」
※Colorful39号「卒業生インタビュー」より
取材・文 沖さやこ(2009年音響芸術科卒)