TOHO STYLE

TOHO会通信

山田 はるか

2000年/放送芸術科卒

人形操演

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東放学園が自分によく合っていると感じた

2021年10月放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』

出演も大きな話題となった、人形操演の山田はるかさん。幼少期からぬいぐるみや教育番組の可愛らしい世界に惹かれ、中学校へ進学した頃には「子ども番組を作る側になりたい」という強い思いが芽生えていました。
「学校の先輩から『番組制作の仕事に就くためには、専門的なことを学べる学校に行くのが近道らしい』という話を聞いたんです。番組作りの基礎が学べて実践もできる大学は当時なかったこともあり、私は短期間でストイックに専門的なものを学ぶ道を探り始めました」
中高6年間で運動部と放送部を掛け持ちして体力づくりをし、高校3年生では番組制作を学べる学校の体験入学に複数参加。そのなかで東放学園専門学校への進学を決めました。
「東放学園の体験入学では番組作り体験ができて、内容もすごく本格的だったんです。あと、校舎も風通しが良くて明るかったんですよね。雰囲気が自分にとてもよく合ってると感じ、東放学園に通いたいなと思いました」
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『この仕事をやりたい』と直感的に思った

東放学園に入学すると、番組制作実習や卒業制作、

ケーブルの八の字巻きの習得、学校に届いた番組観覧に応募し現場を体験するなど、東放学園の環境をフル活用する学生生活を送りました。そして2年生の9月、山田さんは運命の出会いを果たします。
「いつも通り学校に掲示されている求人情報をチェックしていると、NHKの子ども番組の制作会社の求人があったんです。先生に問い合わせたら、『学校のOGが働いているよ』と詳しい連絡先を教えてくださり、すぐに自分でアポを取り、採用面接へと繋がりました。今でもその求人票のコピーは大事な宝物です」
その会社にインターンとして通い、卒業後は同社に就職してアシスタントディレクターとして奔走します。休む間もないほどのハードワークを乗り切れたのは、憧れの番組作りに携われる喜びでした。そんななか、社会人1年目の山田さんは第2の運命の出会いに恵まれます。人形操演という仕事の存在に気づいたのです。
「『人形は人が動かしていたんだ』と驚いたと同時に、『この仕事をやりたい』と直感的に思いました。しかしわたしは表舞台に立つのが苦手なので、舞台よりも映像のほうが楽しくて。だから映像の世界で人形操演の仕事をするために人形劇団で修業を積み、自分で人形を作って操演の機会を増やして……。心が折れるたびに修復して、求められる以上のパフォーマンスができるよう試行錯誤しました」
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すべてがクリエーションに役立つ日が来る

デジタルコンテンツやAIが急激に勢力を伸ばしている一方で、

人形操演という表現は現在も様々なシーンで求められています。その理由の一つを山田さんは「立体性」と語ります。
「物事や表現にはそのかたちや動きへ至る経緯、科学だけでは語りきれない深みのようなものがあって、人形操演はそういう立体性を表現できると思うんです。見た目の造形が立体的であることは言うまでも無いのですが、物事の深さや奥行き、歴史といった意味での立体性。人形操演の技術を用いたクリエイティヴや、観客や視聴者の方々とのコミュニケーションには、まだまだ多くの可能性があると思っています」
細やかな動き、スピード、佇まいなど人形を動かすための様々な技術だけでなく、チームワーク、探究心や好奇心、感性などを総動員して「呼吸」を表現する人形操演。その第一線で活躍する山田さんは、今も研鑽を積み続けます。
「もっと動きのアイデアを増やしたくて、最近はいろいろと試みています。かつて見た景色や感じたこと、出会う人、別れる人、季節、時間のすべてがクリエーションに役立つ日が来るなと感じるんです。今の仕事に出会ったのは子ども番組の制作会社に入ったことがきっかけなので、東放学園にはずっと感謝しています。精一杯努力した先にはご褒美のようなものがあるかもしれないし、ないかもしれない。若い方々にもぜひ精一杯頑張っていただきたいです」

※Colorful39号「卒業生インタビュー」より
取材・文 沖さやこ(2009年音響芸術科卒)

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